トークショー「法的思考と将棋の読み」より

トークショーをテキストに起こしました。将棋と法律にどのような共通点があるか。棋士と弁護士共通の悩みとは?当日来られなかった方もここでお楽しみください。進行役は内藤弁護士です。

ーなぜ棋士と弁護士? 異色のコラボのわけは、弁護士の中に将棋ファンが多い。思考につながりがあるのではないか、という疑問から立ち上がった企画です。

瀬川「弁護士になろうとしたことがある。きっかけは奨励会を退会したとき、次の目標にした。子どものころに弁護士になろうと思ったことがある。その後はいろいろあって、今こんな形になっています(笑)」

ー将棋と法律と、どちらが面白いですか?

瀬川「将棋ですかね」

ー勉強法に違いはありますか?

瀬川「違いを語れるほど勉強していないので(笑)」

ー秋山弁護士は「多摩のイナズマ」の二つ名を持つらしいですが(笑)、将棋と法律についてはいかがですか?

秋山「将棋と法律は似ている、というより、ほとんど同じところにあると思います。脳の中で同じ神経を使っている、というイメージがある。自分が指す、すると相手が自分にとって一番都合の悪い手を指してくる、そしてその手に対して自分がまた指す、この『三手の読み』が将棋と法律でよく似ています。
将棋は玉を詰ますというはっきりした目的がある。法律、裁判では相手の王様がいきなり詰む、ということはない。まず駒得をして、駒の働きをよくしていったり、という細かい動きがある。裁判でも、細かい主張を積み上げていく、という動きがあるます」

ー将棋と民事裁判の共通点について、法学部出身の片上六段に聞いてみましょう

片上「相手が何を考えているか、ということがすごく大事。将棋は見えていることの裏側を読むことが大事。」

ー裁判では相手の足を引っかけて勝つ、ということがある。将棋はそんなことはない。将棋は法律よりもクリーンでしょうか(笑)
瀬川先生と片上先生ではどちらが法律では強いのか?

片上「勝負したことがないですからね(笑)。今後も勝負することがなければいいと思いますが」

ー法律相談センターについて

溝呂木弁護士「全国に17センターある。ご来場をお待ちしています。かなりの数のセンターでは無料で利用ができる。どんな相談でも受け付けているので、気軽にお越し下さい。
一万人近くの弁護士がおりますがセンターでは上手な人を揃えている。万が一下手なものに当たった場合はまた来ていただければ大丈夫。ここだけの話、下手なほうは段にもなれないようなレベルから、名人クラスまでいる。平均すれば六段〜九段で揃っている……はずです(笑)」


ー次に「霞ヶ関の太陽」軽部弁護士から

軽部「裁判と似ているところは、大局観と読みで構成されている、というところ。三手の読みを基本として、相手の出方を伺う。違うところは、将棋はいつも初形から始まるけれど、裁判は、相談に来たところではすでに局面が動いていることが多い。場合によっては、必至がかかっている局面から「なんとかして」という場合もある。「あと3手戻せたら」なんて思います(笑)。ですからなるべく早く相談に来ていただくのがポイント。状況を見る目は、やはりプロと一般の人では違う。早めに法律のプロの目で見てもらうことが大切」

ー将棋の勉強法について、佐藤先生にお伺いします

佐藤「将棋界ではトレーニングに関しては放任主義。奨励会でも、勝手に勉強しろという感じ。棋士によって勉強法は違う。一日、食べてる時間と寝てる時間以外は、頭の中でひたすら将棋を勉強して、というかんじ。将棋の法則はあるけれども、法則に対する認識が棋士のあいだで微妙に異なる、ズレがある、それが個性になってぶつかりあうから面白い。棋士は将棋が好きだから気がつくと勉強している。好きな世界で生きていける喜び、情熱。一局指すと課題が出てくる。問題点が出てくる。十とか二十とか出てくる。それをひとつひとつクリアしていく。
将棋には二つ勉強法があって、「強くなるための勉強法」と、「勝つための勉強法」がある。十代のころはひたすら前者をやっていた。後者は対局相手の棋譜を分析して、この戦法をやろうとか、そういう勉強です。
感想戦を弁護士に解析してもらいたいと思う。プロは本心を言わない。絶対ウソだ、と思うときがある。そのへんを解き明かしてもらいたい。僕は結構正直なんですが(笑)」

ー将棋も弁護士も、ライバルと戦うわけですが、相手との関係が悪くなったりしないか。

佐藤「十回のうち九回は自分のせいで負ける。「なんでこんなことができないんだろう」というのがある。自分は嫌いになるかも。相手を嫌いになるというのはないですね。羽生さん好きですよ(笑)。尊敬してます」

溝呂木「裁判で大喧嘩した翌日、弁護士会館でにこやかに挨拶を交わす、というのが理想だが、実際は人間だもの。好き嫌いはある。仕事は仕事、プライベートはプライベートで分けるのが普通。
裁判を何個も抱えているのが普通。これは将棋に喩えて言えば何十局も多面指しをしているようなもの。仕事を抱えながら日々をすごしている。ずっと考えている」

矢内「無意識に将棋のことを考えてしまう。夢の中で詰将棋が解けたりとか。一日のうち、今だけは将棋から離れる、という時間を作っている。私の場合は走っているときだけは考えない。頭の中で盤が揺れちゃうので(笑)」

ー裁判にも序盤・中盤・終盤はあるか?

軽部「ありますね。序盤はまず相手が何を言ってくるのかを伺う段階。駒組みの段階。手の内を全てさらしてしまうと、相手が対策を立てやすくなる。序盤は手広く、は将棋と裁判で共通しています。中盤は押し引き。終盤はいよいよ証人尋問。花形だと思われがちだが、裁判ではこの時点ではもう決着がついていることが多い。口頭よりも物証の方が強い。逆転は起こりにくい。
将棋は勝つか負けるかだが、裁判は勝ち負けを決めずに和解で終わることも多い。判決にこだわる事件なのかそうでないのか、早い段階で見極める勘所をわきまえていると裁判では強い。」

秋山「若い頃の方が「これは勝ち、負け」と割り切って考えられた。経験を積めば積むほどいろんな選択肢が見えるようになり、わからなくなってきた。「この人にとって本当にいい方法はなにか?」は難しい。将棋も初段ぐらいの方がシンプルに考えられた。強くなればなるほど、将棋が難しい」

佐藤「自分のなかでどうしても変わらない、という基準がある。経験から来る判断というのは、大局観のこと。
一つの局面で、考えなくても正解が指すことができる。それが大局観。直感の7割から8割は正しい。2割から2割5分くらい、常識の外にある手が正解の場合がある。そこで読みでチェックを入れる。自分を疑いながら指している。」

瀬川「今までの経験で、第一感の手を選ぶことが多い。それ以外の手を指して負けると後悔する。」

矢内「直感、第一感は何もないところからは浮かばない。自分が学んできたものがベースになっている。直感といっても、その局面に至るまでの流れを受け継いでいる。第一感以外の指し手を指すと、それまでの流れを断ち切ってしまうような気がして、第一感を大事にしている」


閉会式



企画運営をつとめた「(株)ねこまど」の北尾女流初段と、秋山努弁護士が閉会のごあいさつ。将棋・法律クイズは秋山弁護士手作りの力作でした!
「遠い存在だった棋士の先生と、こうしてイベントが出来て感無量です。弁護士もまたこれをきっかけに身近に感じていただけたらうれしい」(秋山弁護士)


最後まで立ち見のお客さまがいらっしゃるほどの大盛況。予定時間をオーバーしたにも関わらず熱戦を見守ってくださったみなさま、ありがとうございました!!

特選対局から特選写真



先手 佐藤康光九段


後手 瀬川晶司四段


貫禄をみせた佐藤先生でした。


calendar

S M T W T F S
      1
2345678
9101112131415
16171819202122
23242526272829
3031     
<< October 2016 >>

法律相談センター
将棋フェスタ


【日時】
2010年4月3日(土)
12時開場 13時開会

【会場】
弁護士会館2階クレオA
(東京都千代田区霞ヶ関1-1-3)

【アクセス】
東京メトロ丸の内線、
日比谷線、千代田線
「霞ヶ関駅」B1-b出口より直通

【参加棋士】
佐藤康光九段、片上大輔六段、
瀬川晶司四段、矢内理絵子女王、
北尾まどか女流初段

【主催】
東京弁護士会
第一東京弁護士会
第二東京弁護士会

【企画】
株式会社ねこまど

【お問い合わせ】
東京弁護士会法律相談課
(03-3581-2206)

-------------------------------
入場無料&お申込み不要です
公開対局はネット中継にて配信!!
皆様のご来場をお待ちしております
----------------------------------

弁護士会法律相談センター

弁護士会法律相談センター

selected entries

archives

recent comment

  • トークショー「法的思考と将棋の読み」
    観戦者
  • 佐藤九段勝利!
    観戦者

links

profile

search this site.

others

mobile

qrcode

powered

無料ブログ作成サービス JUGEM